ユーザーサイドに立つAppleが広告事業に再参入

Appleがプライバシーを重視した新しいアプリ検索サービスを発表しました。

Avatar Yijun Chen Marketing Manager 2018-07-14

Appleはこれまでに広告事業では大きな成果をあげることがありませんでした。2010年にはじめて登場したiAdのプラットフォームは業績が振るわず、2年前にサービスを終了しています。

同社はカンファレンスのプレゼンテーションで、見栄え良く臨場感あふれるモバイル広告エクスペリエンスを提案したものの、広告主に高価すぎるとすぐに却下されてしまいました。 また、Appleのレベニューシェアモデルに魅力を感じていない開発者の間でも、大きな注目を集めることはありませんでした。

しかしながら、今月開催されたWWCD(Appleの年次ショーケースイベント)で、AppleがGoogleに類似したサービスの開始を検討しているという噂が現実味を帯びてきました。

具体案はまだ明らかにされていませんが、近いうちにApp Storeの検索サービスが他のサイトに拡張されるという発表がありそうです。Wall Street Journalのリークによると、AppleはPinterestやSnapなどと協議を重ねており、これらのアプリ内での検索結果に加え、App Storeの検索結果が表示されるサービスになる可能性が高いということです。 

アプリの検索

他サイトでの有料検索の導入は必然的な流れであるといえます。モバイルファーストな環境でアプリの人気はより高まっており、今後参加サイト数は安定していくことでしょう。VentureBeatは、サイト上でユーザーの問い合わせに応じモバイルウェブページを提案するだけではない、こうした新しい検索サービスが、顧客とブランドの関係性を深める出発点になると評しています。

たとえば、Pinterestでレシピを探している人が、メキシカンサラダと検索するとします。するとシェフや地元の名物料理などから、クッキングに特化したアプリがおすすめされます。また、トラベルインスピレーションを検索したSnapのユーザーは、検索から予約へと移行する際に、大手オンライン旅行代理店のアプリをインストールする気になるかもしれません。

App Storeの有料検索機能の本格展開

米国のブランド広告主は、2016年10月からApp Storeで自社のアプリを宣伝することが可能となりました。その後、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、スイス、メキシコ市場に提供範囲が拡大されました。 今年の6月に開催された、Appleが今後のロードマップを発表する年次イベントであるWWDCでは、より多くの国々でアプリの有料検索機能が利用可能となることが明らかにされており、この夏から、日本、フランス、イタリア、スペイン、韓国、ドイツでプロモーションツールが提供が開始される予定となっています。

このサービスは、ブランド広告主がGoogle上でPPC方式の検索キャンペーンを運用する方法と非常によく似ており、アプリ開発者は、消費者にアプリをダウンロードさせるための予算に上限を設けられるようになっています。広告主はアプリを検索してもらうための一連のアプリのキーワードを設定し、ボタンを押すだけでキャンペーンを始めることができます。

Wall Street Journalの予測通り、Appleはこうした機能をサードパーティのサイトに追加することに積極的な姿勢を構えています。 自社の広告サービスを拡大できるだけでなく、現在有料検索で圧倒的優勢にあるGoogleとの競争においても強力な武器となるからです。

ユーザーサイドに立つApple

今年のWWDCで、Appleがユーザーのプライバシーを全面的に尊重すると時間をかけて説明した理由はここにあります。Appleは自社ブラウザのSafariにおいてクッキーのブロック機能を標準装備したハイテク企業でもあります。

AppleのCEO、ティム・クックは、ユーザーの動きをトラッキングしたり他のWebサイトに遷移した後でさえも多くのデータを収集するサードパーティサイトをブロックできるSafariの追加機能を紹介し、同社の今後のスタンスを明確化しました。Facebookが最も顕著な例として知られる、このような物議をかもすトラッキングに対し、Appleは明白な反対の意を表明しており、顧客サイドに立ちながら、貪欲にデータを収集する大手ライバルテック企業に挑んでいくようです。

実際に、Appleは最近、アプリ開発者に顧客の電話帳のデータを収集・販売しないように警告を送っています。それは、ケンブリッジ・アナリティカのスキャンダルのように、アプリがユーザーの友達に関するあらゆる情報をかき集めることで、データの不適切な利用につながりうる種のものでした。

Appleはデジタルマーケティングにおいて消費者の友人的な立場を確立しており、広告事業で慎重な再スタートをきるためにこうした根回しを行っていると考えられます。

拡張版のApp Store検索プログラムは、クッキーや膨大なユーザーデータを必要とせず、ユーザーがアプリを検索で見つけるためのキーワードや、入札の際にユーザーにアプリをダウンロードさせるための金額上限を設定するのみです。

また、Appleはゲームの広告事業への再参入の兆しも見せています。

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