中国のゲーム承認の凍結解除が、以前の状態に戻ることを意味しない理由は?

中国での新作ゲーム承認プロセスの凍結が解除されました。いったいなぜ、凍結が解除されたのでしょうか。また、リリースの禁止措置を解除するにあたって、政府レベルでどのような変更がなされたのでしょうか。そして、こうした変化は、中国市場への進出を予定している開発者にどんなインパクトをもたらすのでしょうか。

Avatar Yijun Chen Marketing and Communication Manager 2019-04-04

中国当局がゲーム認可の凍結を解除し、2019年1月初旬のリリースに向けて新たに80タイトルを承認したと、 Venturebeatが報じました。

いったいなぜ、凍結が解除されたのでしょうか。また、リリースの禁止措置を解除するにあたって、政府レベルでどのような変更がなされたのでしょうか。そして、こうした変化は、中国市場への進出を予定している開発者にどんなインパクトをもたらすのでしょうか。

凍結の解除により、各ゲーム企業に再び門戸が開かれたものの、凍結をもたらした要因が市場の仕組みそのものを変えることとなったため、開発者やパブリッシャーは、厳しい規制のなかでビジネスをおこなうことを余儀なくされています。

凍結がおこなわれた理由は?

中国のゲーム市場は大いなるポテンシャルを秘めた、世界最大の規模のゲーム市場の一つです。2018年8月のNewzooのレポートでは、Tencentの大ヒット作であるHonor of Kingsのようなタイトルのデジタルゲームコンテンツに、6億人以上が37億ドル以上を費やすという見込みが立てられています。

こうした莫大な市場規模にも関わらず、中国政府は2018年の初夏から夏にかけて、ゲームが中国国民に与える悪影響を相次いで表明しました。

2017年5月に、中国当局は、全世界に先駆けてルートボックス(ガチャ)に規制を課し、レアアイテムの出現確率を表記することを義務付けました。また、同年の後半には、Honor of Kingsのプレイ時間を批判し、その結果として、Tencentは未成年プレイヤーに対し、プレイ時間の制限を設けることを余技なくされました。さらに2018年8月には、青少年の近視の進行を助長しているとして、再びゲームを厳しく非難しました。

こうした一連のできごとが、凍結を引き起こす一因となったことももちろん考えられます。しかしながら、一番の直接的原因は、ゲームの監視をおこなう政府機関の再編成にあったといえるでしょう。

この再編成あたって、政府統括の国家新聞出版広電総局(SAPPRFT)は、ゲームのリリース承認プロセスの一部を、ラジオテレビ総局(SART)に移管しました。

これにより、ISBNライセンス発行のために、両方の機関がゲームの承認をおこなわなければならないという状況が生じ、さらにSAPPRFTはライセンス発行を許可しつづけたものの、SARTが許可を出さないという事態が発生しました。

こうしたことが行き詰まりを生み出し、しいては凍結を引き起こす結果につながっていったのです。

凍結が中国のゲーム市場に与えた影響は?

凍結が中国のゲーム市場に与えたインパクトは計り知れません。グレーマーケットを通じ、承認前のライセンスが市場に出回ったり、app storeを経由しリリースをおこなうといった抜け道を活用するなどして、依然として中国国内でゲームはリリースされていたものの、大半の新作タイトルは無期限のリリース延期を強いられることとなりました。

こうした規制の最も大きな影響を受けたのがTencentです。モンスターハンター(モンハン)やその他の主力作品のリリースが政府当局により凍結されたことにより、 同社の2018年下半期の株価は半分程度までに下落しました。

あらゆるジャンルのゲームが中国でのリリースに失敗したことは、世界的にも悪影響を及ぼしました。これをうけ、調査会社である Newzooはグローバルのゲーム市場の評価を下げ、凍結措置が多くの開発者に悪影響を及ぼしたことが、より一層浮き彫りとなりました。

こうした凍結措置が2019年にも引き続き実施されていれば、ゲーム市場はグローバル規模でより深刻な影響を生み出していたことでしょう。そのため、ゲーム業界全体にとって、凍結解除はこの上ない吉報であるといっても過言ではないでしょう。

凍結が解除された理由は?

なぜ凍結が解除されたのでしょうか。その理由を理解するために、中国政府のオペレーションをより詳しく見ていきましょう。

まず初めに理解しておきたいことは、政府のゲームリリースに対する懸念が配信の仕組みに大きな影響を与えているということです。

たとえば、中国政府にとって、映画館で配給される洋画の本数やタイプを制限することは比較的容易な一方で、デジタル配信のゲームにおいては、市場に出回るタイトルをコントロールすることが非常に困難となっていました。

結果として、政府が市場へのゲームの流入をコントロールする上で、より都合の良い組織を編成しなおすことが、凍結を終了するための第一条件となりました。長い時間を経て、2018年12月に、中国はオンラインゲーム倫理委員会(OGEC)を設立し、ライセンスの申請をおこなうゲームが、コンテンツガイドラインを満たしているかどうかを審査することで、解除の方向へと舵を切りました。

こうした状況は当初、開発者にとって絶望的に映りました。OGECが審査した20本のゲームのうち、11本が修正を余儀なくされ、9本は完全に却下されたためです。

しかしながら、これはまた、政府が市場に出回るタイトルをコントロールする上で、よりよい組織の再編に成功したということでもあります。これにより、中国政府はコンテンツの取り締まりに対する自信を取り戻し、凍結の解除をおこない、承認プロセスを再開するにいたりました。

ゲーム開発者やパブリッシャーにとって、凍結の解除が意味することは?

凍結が解除されたことは、世界最大のゲーム市場の門戸が再び開かれ、各企業が中国国内でゲームをリリースし、一攫千金を狙うチャンスを手にしたということであり、ゲーム開発者やパブリッシャーにとって、この上ない朗報であることは間違いありません。

しかしながら、パブリッシャーや開発者が忘れてはならないことは、凍結の解除が、以前と同じ環境に戻れることを意味するわけではないという点です。

中国でのゲームリリースを検討している企業は、自社タイトルを市場に投入するにあたり、より厚みを増した政府のレイヤーと向き合い、厳格なコンテンツガイドラインを乗り越えるべく、万全の態勢で挑まねばなりません。

12月下旬に承認されたゲームの中に、Tencentのタイトルが含まれていなかったことからもわかる通り、こうした障壁は海外のパブリッシャーのみならず、国内のパブリッシャーにも打撃を与えています。しかしながら、こうした厳しい規制を乗り越えていく上で、中国国内の企業は、より優位に立てることでしょう。

したがって、中国市場でのリリースを目指す開発者やパブリッシャーが、こうした新たな環境に対峙するためには、あらゆる事情に精通する現地のパートナーと組むことが今まで以上に重要となってくるでしょう。

また、開発者にとって、あらゆる国際政治情勢に常にアンテナを張っておくことが、より一層求められるでしょう。世界中の規制当局が今まで以上にゲームを重要視しているため、ゲーム分野でビジネスを展開する企業にとって、各国のポリシーが市場に与えうる影響を加味し、そうした影響に対処できる戦略を構築していくことが不可欠となるでしょう。

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